硬化初期のコンクリ-トのクリ-プ特性を把握しそれをモデル化するために、以下のような実験および数値解析を行った。 1.コンクリ-トをモルタルと粗骨材からなる複合材料と考え、クリ-プ変形をするモルタル部分の特性を明らかにするために、硬化初期のモルタル供試体について一軸圧縮クリ-プ実験を行い、乾燥クリ-プひずみと基本クリ-プひずみを測定した。載荷時材令は24時間以内とし、材令、応力比および水セメント比をパラメ-タとしてクリ-プ変形を測定した結果、それらの要因の影響を把握することができた。なお、供試体周囲の温度と湿度は恒温恒湿装置により、20℃、70%に一定に保った。 2.コンクリ-トのクリ-プに含まれる大きな統計的変動を扱うためのモデル化に関する検討を行った。このような統計的変動を含む力学特性のモデル化には確率モデルの概念が有効であることを、実際の設計式を構成モデルの一部に用いた数値シミュレ-ションにより確認することができた。 3.コンクリ-ト供試体内の粗骨材の寸法や空間的配置がクリ-プあるいは乾燥収縮の測定値におよぼす影響等を把握するために、コンクリ-ト要素と呼ばれる有限要素法に基づく一種の複合要素モデルを考案した。種々の数値シミュレ-ションをとおしてコンクリ-ト要素の概念が2次元あるいは3次元の数値解析を行う場合に有効であることを確認した。 今後の研究の展開として、上記の基礎的成果に基づくコンクリ-ト供試体のクリ-プ実験および実構造物のコンクリ-トのクリ-プ特性の把握が考えられる。
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