本年度は、交通制御システムへの適用を主に行い、以下のような研究成果を得た。また、交通配分と交通変量の予測への適用も試みている。 1) 交通制御システム 多層型のニュ-ラルネットワ-クモデルを用いて、単独交差点のスプリットを最適化するためのモデル化を行った。この中で、最適化の変量として行列長だけでなく、遅れと停止回数の加重和を組み込むととができることを明らかにした。また、その最適化過程において、確率的手法であるコ-シマシンと解析的手法であるフィ-ドバック法を組み合わせたステップワイズ法の提案を行い、最適解に迅速に収速すること、および自己組織化能力を有することを明らかにした。さらに、数交差点規模の小規模な道路ネットワ-クに対しても適用するようモデルの拡張を行った。 2) 交通配分問題 費用最小流問題とホップフィ-ルド型ニュ-ロモデルとの対応から最適解を得るための重み係数式の誘導を行った。近似解ではあるが厳密解と比較しほぼ満足の行く解が得られた。ここでは、実際の交通問題への適用を考慮し、各リンクの容量に関する制約条件、リンク通過速度の交通量依性をモデル化していることを特徴としている。 3) 交通状況の予測システム ニュ-ロモデルと同様に自己組織化能力を有するGMDH法との比較を行い、多層型ニュ-ロモデルが予測精度、および学習能力に優れていることを明らかにした。 これらの成果については、「第11回国際運輸・交通理論シンポジュウム」(1990.7)、および「第70回TRB年次大会」(1991.1)等において発表された。
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