研究課題
本継続研究の最終年度である平成3年度においては、平成2年度の研究の成果として得られたメタン生成細菌の16Sリボソ-ムRNAの部分塩基配列のデ-タを基にして、各メタン生成細菌に特異的な配列の16Mer〜18MerのDNAプロ-ブを作成し、in situハイブリダイゼ-ション法によるメタン生成細菌の非培養的な検出方法の開発を行った。この結果として、対照として用いた大腸菌やArthrobacter属の真性細菌とは識別して検出することが可能であったものの、メタン生成細菌の種間の識別は困難な場合があることが知られた。したがって、この方法による通常の環境から採取した資料中のメタン生成細菌の分布と生態の調査は、基本的には可能と考えられるものの、DNAプロ-ブの特異性とin situハイブリダイゼ-ションの手法上のさらなる改良が必要であると結論付けられた。別法として行った上記DNAプロ-ブによる各メタン生成細菌のスロットブロットハイブリダイゼ-ション法を用いた検出では、識別検出が可能であったことから、上記結果は、DNAプロ-ブの種特異的な取り込みとリンシングに不完全な点が存在するものと推定された。今後は、in situハイブリダイゼ-ションに限定せず、PCR法とDNAプロ-ブ法との組合わせ等によるメタン生成細菌の種特異的な定量方法の開発が必要と考えられた。本研究において同時に実施した湖沼底泥より新たに分離したメタン生成細菌(水素資化性球状メタン生成細菌)および湖沼底泥自体のメタン生成活性とメタン生産能力の底泥深さ方向における違いについての調査結果より、水素資化性メタン生成細菌の活性度が酢酸資化性メタン生成細菌に比較して高いことが知られた。また、底泥中の有機物含量および酸素との接触等によって、湖沼底泥中のメタン生成細菌の分布が変化していることが示唆された。
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