研究概要 |
本年度の研究により,ASR法(非弾性ひずみ回復法)とDSA法(変形率変化法)について得られた主な知見は以下の通りである。 1.ASR法 (1)理論的研究により,独立な6方向の垂直ひずみを測定すれば,三次元的地圧を計測することが可能であることを示し,これに基づいた計測手順を提案した。 (2)室内実験により,9種の岩石の一軸圧縮応力下における非弾性ひずみ回復特性を明らかにし,応力解放後の非弾性ひずみ回復コンプライアンスがVoigt物体を2つ直列に結合した4要素モデルで表わし得ること,遅延時間は岩種によらずほぼ一定であることならびに現場計測で重要な遅い遅延時間の非弾性ひずみ回復コンプライアンスの最大値の逆数が通常の一軸圧縮試験で得られる50%強度の接線ヤング率E_<50>の逆数とほぼ比例関係にあることなどを明らかにした。また,これにより,E_<50>の測定からASR法が適用可能か否かを判断する方法を提案した。 (3)一軸圧縮,封圧三軸および静水圧試験により,非弾性ひずみ回復コンプライアンスが平均応力に依存することを示した。 2.DSA法 (1)他の方法で地圧計測が行われた日本の三地点から得られたボ-リングコアを用いてDSAによる地圧計測を行い,それらの方法による結果と比較したところ,必ずしも同一の結果が得られないことならびにDSA法は浅くて引張強度が大きな岩石には適用しにくいことなどが明らかになった。 (2)地圧下のボ-リングに伴うコアの損傷解析は現在も継続中であり,来年度には,DSAの理論的背景を確立する予定である。
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