研究概要 |
平成2年度および3年度の研究成果に基づき,適正と考えられる5種の抽出剤を用いて塩酸溶液からFe(III)を抽出し、その有機相を金属アルコキシド合成に供与することにより,新しい金属アルコキシド製造プロセスの各工程;抽出,減圧蒸留,合成および分離工程における最適条件の検討を行った。新らたに得られた知見としては, 抽出工程 1)抽出剤の特性により異なるが高塩酸濃度で抽出を行うことにより,有機相中の水分濃度を減少できる。 2)有機相中の金属濃度の増大により水分濃度を減少できる。 3)有機相の水分減少は高塩酸濃度よりも高金属濃度による効果が大きい。 4)塩基度の高い抽出剤はより低い塩酸濃度から、水分を含まない金属錯体を抽出できる。 5)TOPO,TOAは抽出操作で水分除去できる。 減圧蒸留工程 1)IPEはエタノールの共沸効果により段数3で水分除去可能であり,TOPO,TOA同様に金属アルコキシド合成に供与可能である。 2)溶媒の過度の濃縮は抽出剤の変質をきたす。 合成工程 1)低温合成が金属アルコキシド合成に優れている。 2)無水塩化鉄溶液と同様に,塩化鉄を抽出したIPE,TOPOおよびTOAは鉄エトキシド合成が行える。 分離工程 1)鉄のエトキシドアンモニア化物生成によりTOPO,TOAの様な高沸点抽出剤との分離は可能である。回收抽出剤は再度金属抽出できる。 2)減圧蒸留により低沸点抽出剤と合成アルコキシドとの分離はできる。
|