研究概要 |
金属塩化物水溶液に特定の抽出剤を接触させ、対象金属の塩化物錯体を抽出した有機溶媒から共抽出された付加水および付加塩素イオンを減圧蒸留除去した後、有機溶媒にアルコールとアンモニアを添加させることにより、従来法と全く異なる方法による金属アルコキシドの新製造法を、主として抽出特性の良好なFe(III)を対象金属として基礎的研究を行い、下記の研究結果を得た 最適抽出剤としては、1)低沸点で蒸留分離が容易。2)塩基度が高く低塩酸濃度で抽出し、抽出種は水を含まない。3)金属アルコキシドと弱い結合力。4)水に対して低溶解度。これらの条件をみたす抽出剤の選択は非常に困難であるが、溶媒和抽出剤としてTOPO,IPE,塩基性抽出剤としてはTOAが使用できることが判った。 金属アルコキシド製造プロセスの各工程に関しては、 抽出工程-高塩酸濃度、有機相中高金属濃度で、有機相中の水分は減少できるが、高金属濃度の方が効果は大きい。TOPO,TOAは無水錯体を抽出できる。 減圧蒸留工程-IPEはエタノールの共沸効果で段数3で十分水分除去でき、金属アルコキシド合成に供与できる。 合成工程-低温合成が有利。 分離工程-鉄のエトキシドアンモニア化物生成によりTOPO,TOAとの分離は可能、減圧蒸留により低沸点抽出剤と合成アルコキシドとの分離はできる。 本研究の総合的結果として、各種金属成分を含む塩化物水溶液から特定の抽出剤を使用して、対象金属のみ選択的に無水抽出種として抽出分離し、低温でアルコールとアンモニアとの接触合成反応により、金属アルコキシドを製造する可能性を見出した。
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