1.希土類の吸着およびサマリウムとコバルトの選択吸着分離 サマリウム、ネオジム、イットリウム、ランタンあるいはガリウムの塩化物水溶液からクロレラ、スピルリナ、こんぶあるいはわかめによる各金属イオンの吸着を行った。総括的にこれらの希土類イオンの藻類への吸着率は、中性において高く酸性において低かったがスピルリナへの吸着率はpH4付近で極大を示した。この現象を利用して、サマリウムとコバルトの混合塩化物水溶液からpH4付近でスピルリナによりサマリウムを選択吸着分離することができた。 2.ひ素の吸着 含ひ素水溶液に硫酸を加えて種々のpHの水溶液を作成し、ひ素の藻類への吸着率を調べた。pH6〜2まではほとんど吸着が認められず、pH2付近からひ素の吸着が認められた。pHを1以下にすると前液ひ素濃度22mg/lの場合に吸着率約50%に達した。 3.カドミウムの吸着 カドミウムの吸着率は中性付近で高く、酸性で低く、こんぶとわかめの吸着能力が大きくクロレラとスピルリナの吸着能力が小さく、従ってコバルトの吸着の場合と類似している。pH約6でわかめあるいはこんぶを用いた場合、吸着率は約90%に達した。 4.ミニカラムによる金属イオンの連続吸着 容量10mlのミニカラムに藻類を充填し、濃度とpHを調整した塩化金酸水溶液を定量ポンプによりミニカラムの充填層に連続的に通液した。金濃度12mg/lの水容液を通液した場合の金吸着率は固液比の同じ場合のバッチテスト結果より僅かに低かった。この吸着率の差は、水溶液と藻類の接触時間および接触様式の差によるものと思われる。
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