研究概要 |
炭酸ガスの有効な還元固定化技術の芽を探索することを目的として,電解用の修飾電極ならびに電解溶媒としての非水溶媒ならびに液化炭酸について研究したので,その概要を報告する。 (1)修飾電極によるメタノ-ルの生成:ヘキサシアノ鉄酸系修飾電極による電気化学還元について研究し,ヘキサシアノ鉄酸ルテニウムが有効でることを見出した。次いでこの電極で還元する場合に必要な金属錯体触媒について調べた結果,第一鉄イオンのチロン,ニトロソR塩等の錯体が有効であることが判った。その他メタノ-ルの添加量と修飾被膜の厚さの影響について検討し,これらを基に還元機構を考察した。 (2)非水溶媒中での電気化学還元:排煙からの炭酸ガスの分離剤として研究されているアミン系溶媒を用いて吸収された炭酸ガスを電気化学的に還元する手法について研究した。その結果,炭酸ガスを吸収させただけの溶媒では,還元生成物として水素のみが生成したが,適切な電解質を添加することにより,メチレンとメタンが生成することが見出された。 (3)液化炭酸の還元:液化炭酸は電気電導性がなく,かつ電解質成分の溶解性もほとんどないので,先ず電導性を付与するために適している電解質の探索を行った。その結果,液化炭酸とプロピレンカ-ボネイトとを混合し,これに電解質としてトリフルオロスルホン酸テトラアルキルアンモニウムを添加することにより,電解が可能な程度まで電導性を上げることができた。現在このような溶液を用いて電解実験を進めている。
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