研究概要 |
1.原料濃度,反応温度を一定値に設定して,CSTRでベロ-ゾフ・ジャボチンスキ反応を行い,化学振動が生じるかどうかについて実験により調べた。また,反応温度の効果についても調べた。 (1)フェリインを酸化還元触媒として用い,臭素イオン濃度の時系列デ-タを収録し,波形解析した結果,臭素イオン濃度の振動の遷移に2種の経路が存在することを見出した。すなわち,分岐パラメ-タであるスペ-スベロシティ-を大きくして行くと,(1)単一ピ-ク振動→二重ピ-ク振動→平坦部をもつ断続的振動→平坦部に微小な乱れが重なった断続的振動へと遷移する経路と(2)単一ピ-ク振動→振動が消滅する定常状態へと遷移する経路が観察された。しかし,本研究で設定した原料濃度においては明確なカオスは出現しなかった。 (2)分岐パラメ-タとして反応温度を変化させ,温度による非線形現象についても調べた。その結果、本研究の実験条件(25℃〜40℃)の範囲内では,単一ピ-ク振動のみが出現し,反応温度の上昇とともに振動周期が短くなった。 (3)これらの結果より、他の研究者が同一反応条件で観察している化学反応カオスは,微小な外乱によるものであると推論された。
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