1.球根花卉のうち、ヒガンバナ科に属する11種類及びユリ科の9種の球根の展開葉またはりん片を用いて、各球根ごとにキュウリモザイクウィルス(CMV)の発生調査をDIBA法で行い、CMV感染種球根を調査した。その結果、ヒガンバナ科では、ヒッペアストラム、ヒッペアスケリア、リコリス、リュ-コジャム、キルタンサスにおいて、ユリ科では、テッポウユリ、ヒアシンスにおいて感染が認められた。 2.CMV感染の認められた種を用いて、球根内におけるウィルスの分布調査をDIBA法またはELISA法で行ったところ、いずれも球根内でのりん片上の位置ならびにりん片の位置ならびにりん片上の各部の比較において、CMV濃度の差があることがわかった。 3.テッポウユリのりん片切片を培養して切片における子球(一次子球)の能率的な獲得条件を知るために、培地、培養条件を検討した結果、25℃照明下、ショ糖20〜40g/l、NAA0.1mg/l、BA1.0mg/lの組合せ添加が最も多くの子球を獲得できた。 4.テッポウユリのCMV感染球を用いて、球根内各部のりん片及び地上の茎の葉、茎などの切片を培養し、これらの切片における一次子球の形成状態を調査し、子球のCMV検定を行った。切片の採取部位とCMV除去効果については、子球のりん片よりも葉の切片において高かった。 5.得られたテッポウユリの一次子球を再び培養して新子球(二次子球)を形成させるための培養条件を検討し、二次子球のCMV検定を行った結果、二次子球のCMV検出率は著しく低下し、ウィルス除去効果が認められた。 6.テッポウユリ以外でも、CMV感染球を用いたりん片培養によって得られた一次子球のCMV検定を行い、ヒッペアストラム、リユリス、ヒアシンスでは、CMVの存在を示す反応が認められなかった。
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