研究概要 |
レニンは腎臓で生合成され、血中へ分泌後、血圧および電解質代謝調節系の1つであるレニン・アンギオテンシン系で中心的役割を演じている。最近、ヒトやラットの血中において、活性型レニンの他にその前駆体であるプロレニンが存在していることが明かとなってきた。申請者らは、血中プロレニンの存在意義やプロレニンの分泌調節系の存在の有無について研究してきた。その過程で、ラット顎下腺中にプロレニンの放出のみを特異的に増大させるプロレニン放出促進物質(Proenin Releasing Stimuーlator,PRS)の存在を、腎臓スライス実験系で証明した。 今年度申請者らは、100匹分のラット顎下腺からプロレニン放出促進物質(PRS)の精製を、ベンツアミジンカラム、SPートヨパ-ルカラム、DEAEトヨパ-ルカラム、ゲルろ過法等によるHPLCなどを使って、腺から約100μgのPRSが等電点およびSDSーPAGE電気泳動的にほぼ単一までに純化することができた。 一方、本研究課題を遂行する上で大きな障害に気が付いた。それは、PRSの測定系を腎臓スライスを使っているために、バラツキが大きくて、PRS活性の定量には向かないことが分かった。そこで今年度で申請者らは、スライス系よりも再現性が高いと考えられた腎臓の初代細胞培養系をPRSの活性測定系に用いようと、その予備実験を始め、最近良い結果を得ている。 また、PRSの直接ELISA系確立の予備実験として、マウスレニンの直接ELISA法を確立して、マウスプロレニンの分泌実験で成果を上げた。 これらの測定系を用いて、現在PRSの大量精製を行なっている。次年度は、PSRの一次配列の推定へと研究を進めたい。
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