本研究では複合糖質の糖鎖認識構造の中で重要な単位として知られているNーアセチルラクトサミンならびにその関連オリゴニ、三糖の効率的でしかも簡単な合成法の開発を目指した。 1)前年度Nーアセチルラクトサミン(Galβ1→4GlcNAc)及びNーアセチルアロラクトサミン(Galβ1→6GlcNAc)の効率的酵素合成法を確立した実績に基づいて、Bacillus Circulans由来のβーDーガラクトシダ-ゼを用い有機溶媒添加系でのNーアセチルラクトサン関連誘導体の合成を試みた。本酵素反応においてクラト-スを供与体PーニトロフェニルβーNーアクセチルグルコサミニド(pNPーGlcNAc)及びPーニトロフェニルβーNーアセチルガラクトサミニド(pNPーGalNAc)を受容体基質として50%アセトニトリルを含んだ水ー有機溶媒混合系で反応を行なうとβー(1→4)結合転移したNーPセチルラクトサミンのpNP誘導体と4ー0ーβーDーガラクトシルーNーPセチルグラトサミン(Galβ1→4GalNAc)誘導体を高収率で得た。アセトニトリルの割合を低濃度(20%)に調節することで、ラクト-スとpNPーGlcNAcからNーアセチルクラトサミン誘導体を位置選択的に合成出成ることを示した。 2)ニワトリ卵白リゾチ-ムの糖転移作用を利用し、NーPアセチルジキトビオ-スを供与体、Dーマンノ-ス(Man)を受容体基質として高基質濃度下反応を行なうと、位置特異的に受容体のCー4にβー(1→4)転移した4ー0ーβーNーアセチルグルコサミニルーDーマンノ-ス(GlcNAcβ1ー4Man)を得ることが出来た。さらに上記合成したGlcNAcβ1→4Manを受容体、ガラクト-スを供与体基質としてB.circulans由来βーDーガラクトシダ-ゼを用い、Nーアセチルラクトサン二糖を含んだ4ー0ーβーNーアセチルラクトサミニルーDマンノ-ス三糖の合成にも成功した。
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