研究概要 |
1)PhaffiaおよびCryptococcusに属する不完全酵母18株の18Sおよび26S rRNAの部分塩基配列を求めた。26S rRNAの492〜625postionの部分塩基配列,図rRNAの1686〜1835Positionの部分塩基配列,18S rRNAの1451〜1618positionの部分塩基配列の決定は,phaffia属は菌体内にキシロ-スを有する点でCryptococcusとは似るが,分子系統学的に,Crypococcus属とは属を別にする充分の根拠があると考えられた。2)Q_<10>に特徴づけられるRhodosporidiumに属する菌株,12株の18Sおよび26S rRNAの部分塩基配列を求めた。本属に属する12株は26S rRNAの1686〜1835positionの塩基配列の決定は不可能であった。26S rRNAの492〜625positionの塩基配列では,供試の12株およびQ_9をもつRhodosporidium speciesともども1つのクラスタ-を形成した。18S rRNAの1451〜1618positionの部分塩基配列では塩基の相違数2とする2つのsubclusterに分割された。また,Rhodosporidium dacryoidumは塩基の相違数11であり,本種に対して新属の設定が妥当であるとされた。さらに,Kondoa malvinellaは塩基の相違数15であり,系統学的にかなり異っていることが明らかにされた。3)子のう酵母Holleya Yamadaの18S rRNAおよび26S rRNAの部分塩基配列を求めた。Holleya sinecaudaなどを含む6菌株の18S rRNAの1451〜1618positionでは,HolleyaとNematosporaとの塩基の相違数7を数えた。HolleyaとMetschnikowiaとの塩基の相違数は11,Saccharomycesとの塩基の相違数は8であった。一方,26S rRNAでの部分塩基配列の決定は493〜625positionで93%のmaximum homology,1685〜1835positionで塩基の相違数1であった。以上の結果は,HolleyaはNematospora,Metschnikowiaとは別の属として妥当であることを示す。
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