過去の3年間の研究期間中に14報の原著論文を発表した。1)Genus Phaffiaは、菌体にキシロースをもち、でん粉様物質をつくることより、genus Cryptococcusの synonymとされた。しかるに、18Sおよび 26SrRNAの部分塩基配列による結果は、本属は系統的に離れた存在で、独立した属であることが明らかにされた。2)子嚢菌系不完全酵母 Arxulaは、完全酵母 Stephanoascusとは、 18S および 26S rRNAの部分塩基配列で、たがいに、近い関係にあった。これは、両者が血清学的に共通抗原をもち、ともに、アデニンを唯一の炭素源として、利用できることを裏付けするものである。3)Q-10をもつ Rhodosporidium 属酵母の 18S および 26S rRNA の部分塩基配列を決定した。本属に属する4種は、基準種であるR.toruloides(Q-9)と近い関係にあることを示した。しかし、R.dacryoidumは塩基の相違数11(18SrRNA)を数えた。この結果は、R.dacryoidumにたいして、新属が与えられることを示す。4)子嚢酵母、Holleya Yamadaは、26SrRNAの部分塩基配列では、Nematospora Peglionと近い関係にあったが、18SrRNAの部分塩基配列では、塩基の相進数7を数えた。これはgenus Holleyaの存在か妥当であることを示す。5)子嚢酵母、genus Debaryomycesに属する酵母の18Sおよび26SrRNAの部分塩基配列を決定した。本属に属する14種は、18SrRNAの部分塩基配列で、2つのグループに分けられた。そのグループ間の塩基の相違数は、僅々、1であり、本属は極めてhomogeneousであることが判明した。Genus Yamadazyma Billon-Grandの基準種、Y.philogaeaは、genus Debaryomycesと近い関係にあった。6)Q-9およびroundascosporeをもつ4種のrRNAの部分塩基配列を決定した。そのうち、P.carsonii、P.etchellsiiの2種はDebaryomycesの第2のグループと同じ塩塞配列を与え、本2種をgenus Debaryomycesに移した。
|