研究概要 |
本研究は、非破壊多成分同時分析が可能な核磁気共鳴法の特性を利用して、その有効成分が未だ明確にされていない漢方薬や、食品に注目し、新しい観点から生体機能調節物質を効率良く見出すことを目的とするものである。本年度は、特に有効成分が必ずしも明確でない各種食酢や、数種の食品の未知成分の検索を行った。 1)数種の食品の熱水抽出物からの新規化合物の検索:生姜、ヨモギ、タラの芽、アルファルファ、アスパラガス、舞茸など各種の食品の熱水抽出物を調製し、FXー90Q FTーNMRを用いて、10φセル中で外部基準を用いて、 ^<13>C NMRスペクトルを測定した。生姜は既にその化学構造が明らかにされているショウガオ-ルなどが大量に含まれていることが確認された。またアルファルファやアスパラガスには著量のアスパラギン酸が含まれていることが、一目で確認された。その他の食品のスペクトルもそれぞれ興味深いものであったが、大量に含まれる成分はいずれも既知物質と判明したため、その単離は試みなかったが、 ^<13>C NMR分析は、粗抽出物中の主成分を知る方法として、極めて効果的なことが確認された。 2)各種食酢に含まれる新規成分の検索:各種食酢をそのまま内部基準法を用いて ^<13>C NMR測定に供した。各種食酢のスペクトルはその食酢の製造原料、製造方法を反映したものであり、大変興味深いものであった。中でもリンゴ酢のスペクトルには、従来の成分研究で明らかにされている物質では説明できない大きなシグナルを認め、このシグナルを指標にして単離したところ、1,3ープロパンジオ-ル、と2,3ーブタンジオ-ル(D:L=9:1の混合物)であることが明らかになった。これらがリンゴ酢の主成分として含有されることを初めて明らかにした。 3)漢方薬や薬効がうたわれている黒酢については来年度調べる予定であり、準備を進めている。
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