1.数理計画法のなかで最もよく利用される線形計画法と目標線形計画法に関して、これらをファジィ論的側面から考察した。従来、林学における森林計画問題を定式化するときには、全てのデータが明確なものと仮定され分析されてきたわけであるが、実際用いられるデータには、さまざまな不明確さ、あいまいさが存在していることは事実である。これらのファジィネスを積極的に取り入れ、しかも理論的に計画問題を定式化し、それを解くことによって1つの有意義な知見が得られるような手段があればそれにこしたことはない。ファジィ線形計画法、ファジィ目標計画法はそのような手段の一つと考えられる。 2.代替案作成技術について:従来のHSJ法をやはりファジィ論的な側面から検討した。データのあいまいさ、人間の主観性等を積極的に評価しようとする態度はここでもつらぬかれている。 3.代替案の評価におけるファジィ論的アプローチ:人間の好みといった主観的なものを数量化し、代替案の評価 格付けに関する技法をファジィ理論の応用によって理論的に考察した。本方法にはまだまだ理論的欠点が存在するが、これからの研究に負うところは大きい。 4.人間の好みというものを構造的に明らかにする1つの有効な方法として、高木-菅野モデルを紹介し、その応用可能性について検討した。 5.AI技術の1つであるニューラルネットワークとファジィ理論を結合した森林利用計画問題を検討し、ニューロ・ファジィモデルを作成した。
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