研究概要 |
林木の種および品種鑑定については,従来生殖器官などの形態分析やアイソザイムなど生化学的分析等によりなされてきた。しかし,未だこれといった方法は確立されていない。 本研究は,組織あるいは器官培養によるクロ-ン増殖法を確立するとともに染色体の分染をはじめとする核学的見地から染色体と形質の関係を明らかにし,種および品種の鑑定法を確立しようとするものである。 本年は,クロ-ン増殖の対象としてシイタケのホダ木として重要なクヌギを用い,また核学的見地からの研究対象としてスギを中心とする世界のスギ科樹木を用いて次の結果を得た。 1.クロ-ン増殖(クヌギ Quercus acutissima) (1) 試験管内挿し木による増殖 苗木から得た腋芽を含む茎節を試験管内で挿し木し,10〜20本のシュ-ト増殖とその発根をみた。 (2) 不定胚の作出 種子より胚を摘出し培養を試み不定胚を得,植物体の再生をみた。また,雄花の培養を行い同じく不定胚を得た。 (3) 不定胚の人工種子化 胚から誘導した不定胚をアルギン酸カルシウムで封入し人工種子化を試み,植物体再生に成功した。 2.核学的研究(スギ科樹木 Taxodiaceae trees) (1) 核型分析 タスマニアシ-ダ-Athrotaxis3種の核型分析を試み他のスギ科樹木との比較を行った。 (2)染色体の分染 スギの染色体を中心としてAgーI法等による分染を試みた。
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