研究概要 |
1987年12月に人工永久凍土のモデルプラントの完成以来、凍土の構築状況および貯蔵庫内の温度分布の測定をして、その経時変化の調査を行ってきた。庫内にバレイショなどを貯蔵して、その品質の変化の検討も行った。その結果、充分に実用可能であることが立証されたもののヒ-トパイプの冷却効過が過大なため、厳寒期の庫内温度が低下し、今年度はその問題を解消するため、ヒ-トパイプの半数108本の凝稲部に布シ-トを被覆し、その削減効果の検討を行った。その結果、ヒ-トパイプの作動を抑制することが判明し、冷却効果の軽減が可能であることが分った。ヒ-トパイプは4月に入ると作動は自動停止し、最暖月でも、熱ダイオ-ド性を保ち、凍土地盤は、直管型ヒ-トパイプで70cmL字型ヒ-トパイプでは、40cm程度の融解が発生したものの、良好に凍土が保存されたことが判明した。床表面は前年度より夏期の温度上昇は少なく、10cm程度深く融解したにもかかわらず、床表面の保存状態が良く、良好な貯蔵環境を示した。 食糧貯蔵庫として最も重要なことは、貯蔵物質の鮮度を保持して貯蔵期間を延長することである。バレイショは貯蔵期間242日で減耕率は男爵3.76%,メ-クイン3.56%、ゴボウは貯蔵期間207日で、2.17〜2.56%であった。ナガイモは貯蔵期間206日で、2.16〜2.41%で、ニンジンは貯蔵期間205日で、2%と、いずれも充分な商品価値があると判断された。成分分折の結果からも含水率は品質への影響が無視できるほどの増加で、問題がない事も判明した。タマネギ、ダイコンの貯蔵性は不良で、この種の貯蔵は難かしいと言える。今後は、庫内温度の厳密な調整方法の確立が必要であり、これには自動水張りシステムが有効と考えられることから、次年度はこのシステムについて実験を行う予定である。
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