1987年12月に人工永久凍土のモデルプラントの完成以来、凍土の構築状況および貯蔵庫内の温度分布、湿度の変化を測定して、その経時変化の調査を行ってきた。また、庫内に野菜(主として、バレイショ、ナガイモ、ゴボウ)を貯蔵して、その品質の変化の検討も行った。その結果、充分に実用可能であることが立証されたものの、2〜3の問題点が残された。ヒ-トパイプの冷却効果が過大なため、厳寒期の庫内温度が氷結温度以下になることである。ヒ-トパイプの半数108本の凝縮部のフィンに布シ-トを被覆し、その冷却効果の軽減が可能となった。しかし、気象変動による外気変動に対応するために、本年度は自動水張り装置を開発し、庫内温度がマイナスになると、庫内側壁の配管を通じて散水される工夫を行った。その結果、期待した程、側壁に氷盤が形成されず着氷しないことが分った。他方、散水された水は流下し、庫内底部に多量の氷盤が形成された。したがって、凍結地盤の側壁は前年度で70cm程度の融解であったのが、今年度は約2m近くまで融解する結果となった。床地盤は前年度より凍結保存状態は良く7月末までマイナスを記録した。自動水張りシステムの効果により、最暖月8月でも2.5℃とかなり低温状態が保持される結果となった。前年と同様に野菜保持状態は良く、根菜類は通年貯蔵可能となった。他方、今年度4回に渡って生花の貯蔵を開始したが、菊、鉄砲ユリ、カ-ネ-ション、スタ-チスでは1ケ月以上の貯蔵が可能であることが判明した。貯蔵時には蒸散作用を抑えるため、フィルムラップで包装も不可欠であった。他方、バラ、チュ-リップ、かすみ草については2〜3週間程度の貯蔵が限界であった。全く貯蔵できない生花は、アイリス、リアトリス、シンピジュ-ムであり、貯蔵方法の改善が必要と考えられる。この様に比較的高価な生花貯蔵は野菜貯蔵と同様に重要となってくると考える。
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