1987年12月に人工永久凍土のモデルプラントの完成以来、凍土の構築状況および貯蔵庫内の温度分布、湿度の変化を測定して、その経時変化の調査を行ってきた。また、庫内に野菜(主として、バレイショ、ナガイモ、ゴボウ)を貯蔵して、その品質の変化の検討も行った。その結果、充分に実用可能であることが立証されたものの、2〜3の問題点が残された。ヒ-トパイプの冷却効果が過大なため、厳寒期(1月から3月)の庫内温度が氷結温度以下になった。この問題を解決するため、ヒ-トパイプの半数108本の凝縮部フィンに布シ-トを被覆し、その冷却効果の軽減が可能であることが判明した。ヒ-トパイプは、4月に入ると熱ダイオ-ド性により自動的に停止した。凍土地盤の融解状況は、前年度で70cmであったが、今年度は約2m近く融解した。地方、床地盤の凍結保存状態は、前年度より良好で7月末までマイナスを記録した。このような結果は、今年度新しく用いた自動水張りシステムによるもので、庫内温度がマイナスとなると、庫内側壁から散水されるが、ほとんど側壁に着氷されず、床面に多量の氷盤が作られるためである。この効果は庫内温度を一定する働きを示し、最暖月8月で前年は4.1℃であったが、今年は2.5℃とかなり低温状態が保持された。 食糧貯蔵庫として重要なことは、貯蔵野菜の鮮度を保持することであり、バレイショ、ナガイモ、ゴボウ、ニンジン共に長期保存が可能で、充分な商品価値を示すことが判明した。今年度から開始した生花の貯蔵であるが、菊、鉄砲ユリ、カ-ネ-ション、スタ-チスでは1ケ月以上の貯蔵が可能であることが分った。バラ、チュ-リップ、かすみ草では2〜3週間程度の貯蔵は可能であったが、全く貯蔵のできないものも3種ほどあった。この種の貯蔵システムは、野菜や生花の保存に適し、出荷調整に対して極めて有効であることが判明した。
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