研究概要 |
ひげ根系作物であるトウモロコシを根箱で栽培し,播種後1ケ月における2次元的な根系サンプルを得た。この根系サンプルを2値画像として取り込み,根系分布のべき則すなわちフラクタル性を確認した。更に分布の異方性も解析し,根系分布は自己アフィンフラクタルであることを確認した。単純な根系分枝のル-ルを用いて,Lシステムによる根系パタ-ン形成のシミュレ-ションを行い,根系パタ-ン形成の幾何学的特徴を解析した。現在,更に詳しく根系分枝の状態を観察しており,実際に則した分枝ル-ルの基本則を見い出しつつある。これと,メタル-ルとしてのべき則を組み合わせた根系パタ-ン形成モデルを検討中である。 土塊の形成問題では,重粘土における深耕アップカットロ-タリ耕うん実験を実施し,得られた土塊サンプルのフラクタル性を確認した。更に小土塊形成の要因のひとつと考えられる亀裂の特徴及び発生間隔を調査した。一方で耕うんづめの振動解析を行い,耕うんづめの弾性振動と土塊内部に形成される亀裂に相互関連のあることをつきとめた。耕うんづめの受ける抵抗の距離相関を計算し,短距離相関の高いことも確認した。 非線形なパタ-ンが不可逆的に成長していくひとつの数理モデルとして,拡散不安定場における歪場パタ-ンを考察した。一次元問題ではあるが,非線形カップリング効果のパタ-ン成長への寄与を確認した。 今後は,根系パタ-ン形成モデルの構築,2次元における拡散不安定場の解析等を行い,土塊と根系のパタ-ン形成現象の共通する特徴を検討する予定である。
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