転動球による車体の支持・推進システムを実現する1方法としての球転動システムの構成及び車体の支持・推進・かじ取りシステムの構想を実現するべく、転動ユニットの構造変数とパラメ-タを検証実験用ユニットを用いて試験・考察し、さらに球と土の相互作用のうち自由転動の場合について実験・考察した。 その構想は、まず転動ユニットにおいては、球の上半球同緯度に配置した3個の駆動円筒の回転方向を組合わせることにより、球を任意の方向に転動せしめ、さらにユニット3基でもって車体を支持・推進し、各球の転動方向を組み合わせることにより車体のかじ取り・旋回をするものである。 転動ユニットの構成変数として駆動円筒の被覆材料、球との接触位置(緯度)が、パラメ-タとして球の空気圧及び駆動円筒間の回転速度比がとった。観察により決定された良好な転動をなす変数の組合わせにおいて、各パラメ-タの組合わせについて転動の直進性を、軌跡の標準偏差でもって評価した結果、進行方向前方の駆動円筒より後方のふたつの回転速度を0.5%高くしたものがいずれの空気圧についても良好であることが明らかになった。 自由転動する球と土の相互作用を、土壌槽を用いて軸付き中実ウレタン球に働く垂直・水平反力及び沈下量を計測することによって研究した。そして、締固め度と転動抵抗及び沈下量の関係が、垂直荷重と球のウレタン硬度(ウレタン硬度が70と40の2種類)をパラメ-タとして明らかにした。転動抵抗は、土壌硬度6kg/cm^2以上での一般不整地における範囲では、硬度が増加しても顕著な増加がみられず、ほぼ一定とみなしうる。ウレタンの硬いものはほとんど剛体に近く、剛体平面上では柔らかいものより転動抵抗は小さいが、土壌上とくに上記硬度以下において大きくなった。
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