3本の駆動ロ-ラを大きな球の上部同緯度に互いに120°に配置し接触させ、摩擦伝動により球を転動させ、かつ車体を支持するという構想を検証した。ベルトコンベア用のギヤ-ド・モ-タ内蔵ロ-ラ(周速度5m/s、直径28mm)3本とバスケット・ボ-ルを用いて駆動ユニットを製作し、同ユニットを揺動腕に取り付け定置とし、ピンポン球を多数敷詰めた上に置いたにボ-ルを乗せ板を動かすという実験装置を製作し検証実験を行った。得た成果は以下のようである。 1.軌跡を、原点を通る直線で回帰し、その傾きでもって目標方向からのずれとし、回帰直線から軌跡までの距離の標準偏差でもって蛇行の大きさとして、直進性を評価した。その結果は視察による評点結果をよく定量的に表している。 2.転動に方向性がある。すなわち、互いに120°に配置されているロ-ラの1つが転動方向と直角に他の2つが斜めになるので、ボ-ルが2つの斜めのロ-ラに巻き込まれるように転動するときは直進性が良いが摩擦伝動が不安定になる。 3.ボ-ルの緯度が高くなるほど、目標方向からのずれが大きくなる。なお、蛇行の大きさにはあくまり影響しない。 4.斜めになるロ-ラ周速度の転動方向成分と、直角になるロ-ラ接触点での速度すなわち同ロ-ラの周速度との比は幾何的に求められる。その比は、緯度が45°のとき1.35である。この比のところで蛇行はもっとも小さくなる。 5.斜めになる各ロ-ラ接触状態の違いが生じたとき、目標方向からのずれが大きくなるが、接触状態の違いが交番するとき蛇行が大きくなる。ロ-ラの回転速度制御が必要である。 6.駆動ユニット3基からなる走行装置を製作し、検証実験を行い、今後も計画を進めていく見通しを得た。
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