研究概要 |
1.組み換えバキュロウイルス発現HFRSエンベロ-プ蛋白(組み換えEnv.蛋白)の免疫原性について 組み換えEnv.蛋白で免疫されたマウスは,HFRSウイルス感染Vero細胞を抗原とした間接蛍光抗体法で1:1,280倍抗体を産生した.すなわち,組み換え蛋白の抗原性が本来のウイルス抗原と免疫学的にきわめて類似したものであることが明らかになった.しかし,中和活性は補体存在下で低力価(1:20倍)観察されるのみで,間接蛍光抗体価に比較して明らかに低力価であり,機能的な抗体の誘導には問題のある可能性が示唆された. 2.組み換えEnv.蛋白のPAGE電気泳動による解析 組み換えEnv.蛋白発現昆虫細胞を可溶化した後PAGE電気泳動し,クマシ-染色によって発現蛋白を解析した.しかし,10^5個相当の細胞を泳動したにもかかわらず,組み換えEnv.蛋白特異的なバンドを検出することが出来ず,発現蛋白量は1μg/10^5cell以下が予想外に少ないことが判明した. 3.組み換えEnv.蛋白の防御免疫活性の解析 組み換えEnv.蛋白に対する免疫血清および免疫リンパ球を哺乳マウスに移入後,ウイルスの攻撃接種実験を行った.その結果,いずれもマウスを死亡から防御する効果があり,防御免疫活性を有することが明らかになった. 4.カイコバキュロウイルスによる組み換えEnv.蛋白発現系確立の試み 高発現量の組み換えEnv.蛋白を得るために,カイコバキュロウイルスを発現ベクタ-とした系の確立を進めている.これまでに,HFRSウイルスの核蛋白とEnv.蛋白とEnv.蛋白を発現する換えバキュロウイルスの確立に成功した.現在,カイコ虫体中での発現を試みている.
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