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1990 年度 実績報告書

低カリウムイオン条件による細胞増殖の抑制と、血清中諸成分の抑制回復作用

研究課題

研究課題/領域番号 02807009
研究機関徳島大学

研究代表者

山口 久雄  徳島大学, 医学部, 助教授 (90035436)

研究分担者 池原 敏孝  徳島大学, 医学部, 助手 (40111033)
細川 敬子  徳島大学, 医学部, 助手 (10116858)
キーワードカリウムイオン / 細胞増殖 / 血清中細胞増殖因子 / インシュリン / 低密度リポタンパク質 / HeLa細胞
研究概要

ヒト子宮頚癌由来のHeLa S3細胞を無血清培養液(以下KーCDM)で培養し、各種細胞成長因子(insulin,EGF,hydrocortisone,transferrin)とlowーdensity lipoprotein(LDL)の細胞増殖に及ぼす影響から細胞内K^+の役割について検討した。培養液のK^+をRb^+で置換すると(RbーCDM)、Rb^+はK^+と同様に細胞内に取り込まれ、24時間以内にK^+の80%がRb^+で置換され、さらに24時間後もこの比率は変わらない。この条件で、細胞増殖、蛋白合成、DNA合成は著しく抑制されるが、K^+を除去した5%透析仔牛血清(以下単に血清)を培養液に添加すると、この抑制効果は部分的に回復する。血清成分のうち、特に、insulin(5μg/ml)とLDL(2.5mg/ml)の単独添加によって、この抑制効果は軽減し、両物質の同時添加では著しい増殖刺激効果がみられた。そこで、低K^+細胞について、この両物質のもつ細胞増殖刺激作用の詳細な検討を行った。その結果、insulinは短時間で作用を発現し、72時間以降、効果を消失したが、LDLの効果は遅れて発現し、96時間まで作用を持続することがわかった。このことは ^3Hーthymidineの取り込み速度に顕著に現れ、 ^3Hーleucineのそれにも反映していた。一方、 ^3Hーuridineは、いずれもKーCDM中より高い取り込み速度を示し、各種成長因子の添加による影響もみられなかった。血清とinsulinまたはinsulinとLDLの同時添加では、KーCDMのレベルまで細胞増殖が刺激されたが、血清とLDLでは血清の単独添加以上には効果がなかった。このことから、血清とLDLは細胞増殖に対して同じ作用機転をもつと考えられる。無血清培地におけるHeLa細胞の成長因子であるEGF、FGF、hydrocortisone、transferrinは、それぞれ単独では、RbーCDM中でその効果を示さなかった。以上から細胞成長因子は、K^+依存性とK^+非依存性の両増殖機構に関与することが実証された。設備備品費のラボオ-トクレ-ブは培養器具の滅菌に、シンクロスコ-ブはイオンの測定に用いた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] HOSOKAWA KEIKO: "Stimulating effects of insulin and lowーdensity lipoprotein on cell growth and macromolecular syntheses cells cultured in K^+ーdepleted medium." Journal of Cellular Physiology. 144. 254-261 (1990)

  • [文献書誌] IKEHARA TOSHITAKA: "Kinetic mechanims of ATP action in Na^+ーK^+ーCl^- cotransport of HeLa cells determined by Rb^+ influx studies." American Journal of Physiology. 258. C599-C609 (1990)

  • [文献書誌] YONEZU Takeo: "Effects on cell growth and macromolecular synthesis in HeLa cells of insulin and low density lipoprotein:Analyses at an early stage after change to K^+ーdepleted medium." Experimental Cell Research. (1991)

  • [文献書誌] 山口 久雄(分担執筆): "生体微量元素:ナトリウム,カリウム,ルビジウム" 廣川書店, 300 (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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