cAMPやカルシウムを介した細胞内情報伝達機構は薬理学的に重要な多くの薬物の作用機序に関連している。グアニル酸シクラ-ゼ(GC)は細胞内カルシウム濃度の上昇によって生じるNOにより活性化され、cGMPを産生する酵素であり、薬理学的にはニトログリセリンによる血管の弛緩において主要な働きをしていると考えられていたが、その分子レベルでの活性化機構は不明であった。研究代表者らは以前GCが分子量7万と8万の2種類のサブユニットからなるヘテロダイマ-であることを示したが、本研究においては、1)放射線照射によるタ-ゲットサイズ解析および2つのサブユニットをコ-ドするcDNAを用いたCOS細胞へのトランスフェクションによる一時的発現実験を行い、本酵素が活性を示すためには2種類のサブユニットの両方が必要であることを示した。また、分子量8万のサブユニットの一次構造を決定し、アデニル酸シクラ-ゼや他の膜結合性のグアニル酸シクラ-ゼおよび分子量7万のサブユニットと高いホモロジ-を有する部分を同定した。2)カルシウムにより活性化され、Aキナ-ゼによって燐酸化される多くの燐酸化蛋白質を脱燐酸化するカルシニュ-リンに2種類のサブタイプが存在することはすでに報告しているが、本年度はin situ hybridizationによりそれぞれのmRNAのラット脳内における局在を明らかにし、それぞれが異なった脳内分布を示すことを明らかにした。3)GABAB受容体をアフリカツメガエル卵に発現させる事に成功した。またこの受容体がPKCによって制御されていることも本実験系において示した。現在、上記3つの系におけるAキナ-ゼの関与をAキナ-ゼ変異体を用いて調べている。
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