研究概要 |
ノルエピネフリンの反復添加によって、ノルエピネフリン収縮が内皮依存性に漸減した。 LーNーmonomethyl arginine, Lーargininosuccinic acid,Hemoglobin,などを共存させておくと、上記の脱感作現象は起きなかった。したがって、ノルエピネフリン収縮の脱感作現象には内皮由来血管弛緩因子の関与が考えられた。しかし、ノルエピネフリンによるアドレナリン受容体の頻回刺激が必要なのか、または張力の頻回発生自身で十分なのかを明らかにするためにさらに実験を行った。雄性SDラット(8ー12週令)の胸部大動脈リングを定法にしたがって調製し、オルガンバスにつるした。張力の発生は等尺性トランスジュ-サ-により検知した。ノルエピネフリン(1μM)による収縮を1回させた後、その収縮によって生じた張力と等しい張力を合計6回加えた。張力負荷は1回につき30分、各回の間には15分間の休止期間を設けた。第6回目の張力負荷終了後にノルエピネフリン(1μM)を添加して、1回目の収縮と比較した。1)ノルエピネフリンの添加によって発生する張力とほぼ等しい張力を繰り返して加えると、内皮依存性にノルエピネフリン収縮の脱感作が生じた。このことより、ノルエピネフリンによる受容体反復刺激は必要でなく、張力の頻回発生自身で十分であると結論された。2)LーNーmonomethyl arginineの添加によって脱感作が抑制された。このことより、前回に発表したノルエピネフリン頻回刺激の場合と同様に、EDRFが脱感作に関与しているものと考えられた。
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