1)グリシン脱炭酸酵素遺伝子の構造:鶏の本遺伝子は約45kb長で約3.5kbのcDNAの塩基配列を25のExonに分割してコ-ドしていた。cDNA及び遺伝子上の塩基配列を使って調べると、翻訳開始コドンの上流180塩基を5端とするExonに加え、更に約60塩基長の第1Exonが存在していた。ヒトの本蛋白遺伝子も同様の構造を示し、翻訳開始コドンを含むExonはその上流168塩基迄であり、更に56塩基長のExonが存在する。 2)Hー蛋白遺伝子の構造:ヒトの本遺伝子はcDNAの5端から2塩基上流迄の第2Exonに加え74塩基長の第1Exonが存在し、鶏Hー蛋白遺伝子もほぼ同様の構造をとる。 3)4種の遺伝子は共に短い第1Exonを持っていた。クロ-ン化したゲノムDNA断片上でのそれぞれの局在と、及び転写開始点の上流の構造決定を試みている。 4)非ケト-シス型高グリシン血症患者が持つ変異遺伝子:ヒトHー蛋白cDNAをプロ-ブとすると、非ケト-シス型高グリシン血症患者ゲノムには5.0kbか5.5kbのSacl断片の欠失で判定される変異構造が検出された。本疾患はてんかん様の痙攣を伴う。我々が発見した異常な染色体構造と痙攣の原因になる中枢神経系の異常との関連の解析を行いつつある。
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