1.グルココルチコイドレセプタ-の核結合を促進する因子(ASTP)のcDNA配列を解析する為、ラット及びヒト肝のcDNAライブラリ-を作製し、抗ASTPポリクロ-ナル抗体及びモノクロ-ナル抗体でスクリ-ニングを行ないました。得られたポジティブクロ-ンをクロ-ニングサイトの上流域および下流域のDNAプロ-ブを用いてPCR法で増幅しました。電気泳動で精製、回収の後、同じプロ-ブを用いてダイレクトシ-クエンスを行ないました。昨年度に精製ASTP蛋白をリシルエンドペプチダ-ゼおよびV_8プロテア-ゼで限定分解し、それぞれ3種及び8種のペプチドを得、それぞれのペプチドのN末端のアミノ酸配列を決定しましたので、現在、得られたcDNAと上記のアミノ酸配列との相同性を解析しています。 2.核結合促進因子(ASTP)とグルココルチコイドレセプタ-の相互作用を解析する為に、グルココルチコイドレセプタ-に対する特異的抗体を作製しました。すなわち、ラット・グルココルチコイドレセプタ-のN末端付近のアミノ酸配列で、プロリンを多く含みかつ配列の親水性と疎水性が大きく変化する領域(レセプタ-蛋白の表面を構成すると考えられる領域)を選び、相当するペプチド(22アミノ酸:C末端にシステインを持つ)を合成しました。このペプチドをKeyhole limpet hemocyaninと結合させ、家兎に免疫し、抗レセプタ-血清を得ました。この抗血清は、蔗糖密度勾配遠心法でレセプタ-の沈降位置を変化させまた、ウエスタンブロッティング法でレセプタ-蛋白の分子量約100Kに特異的バンドが認められました。現在、この抗体を用いてレセプタ-蛋白のN末端(レセプタ-作用機構においてこの領域の機能は不明です)とASTPの相互作用に付いて解析を行なっています。
|