研究分担者 |
加藤 秀人 東京女子医科大学, 医学部, 助手
厳 小傑 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (80195627)
八木 淳二 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (70182300)
今西 健一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20132920)
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研究概要 |
我々は本研究費補助金により、ス-パ-抗原活性を示す細菌外毒素によるT細胞活性化機序と、惹起される急性全身性感染症トキシックショックシンドロ-ム(toxic shock syndrome,TSS)に見られる血管炎のモデル実験等について解析した。我々が用いたブドウ球菌やレンサ球菌由来の外毒素TSS toxinー1(TSSTー1),staphylococcal enterotoxin A〜E(SEA〜SEE),streptococcal pyrogenic exotoxin AーC(SPEーA〜SPEーC)はTSSの原因外毒素であり、強力なT細胞活性化作用を示す。in vitro組織培養システムでヒト臍帯血管内皮細胞Human unbilical vascular endothelial cells(HUVEC)にγーインタ-フェロン(γーinterferon,γーIFN)を作用させると、HUVECはHLAクラスII分子を表現するようになる。HLAクラスII分子の表現量はγーIFNの濃度や作用時間と正の相関をもって増加する。HLAクラスII分子を表現したHUVECはTSSTー1やSEA結合性を獲得する。その結合活性はHLAクラス表現量と正の相関を示す。さらにこのHLAクラスIIを表現したHUVECはヒト末梢血T細胞の外毒素(SEA〜SEE,TSSTー1)による活性化において、増殖反応やILー2産生での効果的なアクせサリ-活性を示す。これらの実験結果は、血管内皮細胞を舞台とした外素によるT細胞の活性化がTSSの異常反応の増悪因子として作用することを示している。 さらに我々はSEEによるマウスT細胞活性化作用について解析した。SEE一次刺激により誘導されたCD4^+Tリンパ芽球ではSEE二次刺激に対して細胞増殖反応やリンフォカイン産生(インタ-ロイキンー2やγーインタ-フェロン)において増大した反応が見られたが、CD8^+Tリンパ芽球においてはanergy的無反応性が誘導された。この所見はTSS患者で外毒素により活性化されたT細胞が度のような経過をとるかを考えるときの手がかりを与えると思われる。
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