エンドトキシンにより引き起こされる種々の疾患の診断及び治療への応用の目的でエンドトキシンの化学的微量定量法の確立を行った。a)メチル化3ーヒドロキシミリスチン酸の、フリ-のOH基にアントラセンー9ーカルボン酸を縮合反応により導入し、蛍光ラベルした(M/Z=462:検出限界1ー2pg)。LPSを5%HCl/MeOH中100℃、3時間加水分解し、遊離したエンドトキシン結合脂肪酸のメチル化体蛍光ラベルしてエンドトキシンの定量を行ったところ、S型LPSでは、数十pg、化学合成リピドAでは、数pgのオ-ダ-まで測定が可能であった。b)LーグリセローDーマンノヘプト-ス(ヘプト-ス)をアミノピリジンで蛍光ラベルした(検出限界は80pg)。LPSを2NーTFAで100℃、8時間加水分解し、遊離したヘプト-スを本法を用いて蛍光ラベルした結果、S型LPSでは、800pgまで検出が可能であった。c)血清中の脂質を無極性溶媒で抽出除去後、5%HCl/MeOHで水解し遊離脂肪酸を得た。これを精製し上記法を用いることで血液中のエンドトキシン定量が可能となった。 エンドトキシン活性の中のマイトジェン活性を指標として、リピドAを化学的に修飾することにより不活化した化合物のエンドトキシン活性抑制作用と化学構造とを調べた。化学修飾不活化体の中で、サクシニル化リピドAはエンドトキシンによるB細胞マイトジェン活性を特異的に抑制した。この作用は脾臓中の吸着細胞に非依存的に起こった。この作用は抑制物質を前処理した場合に最も効果的であり、マイトジェン添加前に抑制物質を除いても同様の抑制作用を示した。また、抑制効果は抑制物質/マイトジェンの分子比に依存し、比率が大きいほど強く現れた。抑制を示す物質の化学構造体は完全な大腸菌型のリピドAのサクシニル化体ではなく、モノリン酸化合物であろうと推定された。
|