我々は、単純ヘルペスウィルス(HSV)と水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)のヒト胎児培養細胞(HEF)における増殖に対して、ヒトインタ-フェロン(HーIFN)αおよびB型とアシクロビル(ACV)が相乗的な抑制効果を示すことを報告して来た。その後の研究成果として、1.低濃度(4〜16単位/ml)のヒトB型インタ-フェロン(HーIFNーB)で前処理したHEFに、HSVー2を感染させて48時間後に得たチミヂンキナ-ゼ(HSVーTK)は、正常の(IFNで前処理をせずにHSV感染をして得た)HSVーTKに比べてACVに対する基質親和性が高く(低いKm値を示す)、ACVに対する燐酸化効が高いことがわかった。2.またACVがHSVーTKのdcydキナ-ゼ活性(ACVを燐酸化する)に対して示す阻害効果は、IFN処理HSVーTKの方が、正常のHSVーTKよりもうけ易い(Ki値が低い)ことを発見した。 3.この現象がより普遍的なものであることを証明するために、VZV感染細胞より得たTK(VZVーTK)について同様な実験を行なったが、HSVーTKほど明暸な結果が得られなかった。これは、VZVーTKによるACVの燐酸化効率がHSVーTKほど高くないためであろう。 4.VZVーTKにおよぼすIFN処理の影響について、現在、燐酸化効率の高いBVーaraUを用いて検討を続けている。 5.ACVー3燐酸およびBVーaraU3燐酸が、HSVーDNAポリメラ-ゼ、VZVーDNAポリメラ-ゼ活性に対して示す阻害効果の基礎的な研究を行なって報告した。今後はIFN処理による影響について検討したい。
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