研究概要 |
1.三次元的肝細胞凝集塊の調製とその形成促進因子 ラット肝細胞を非接着環境において培養することにより三次元的肝細胞凝集塊を調製する方法を開発し,この培養系では培地中のEGFとin sulinに加えて肝細胞に由来する凝集塊形成促進因子が三次元的凝集塊形成を促進することを明らかにした。また非接着環境形成素材として固相化された脂貭/グリユサミノグリカン複合体が利用できる可能性が明らかにされた。 2.三次元的肝細胞凝集塊での解毒能 三次元的肝細胞凝集塊には単層培養肝細胞に比し保存されるミクロゾ-ム蛋白が多いばかりでなく,P450およびP450還元酵素活性とそれらの酵素蛋白の転写レベルが高いことが判明した。しかし,保存される酵素蛋白は生体内レベルの数パ-セントに留まるものであった。保存されるP450ではフェノバルビタ-ル誘導型が最も多いこも判明した。 3.肝細胞凝集塊の解毒機能評価系への利用 三次元的肝細胞凝集塊をアルギン酸Ca++ゲルに包理して,バイオリアクタ-として循環培養系に組み込む技術も開発した。ゲル内に脂質/グリコサシノグリカンを同時包埋することにより細胞活性の安定化が得られることも判明した。この循環培養系ではアルブミン合成分泌の他尿素合成も認められた。投与薬剤の解毒バイオリアクタ-として利用できる可能性が示されていると共に,ハイブリッド型人工肝のプロトタイプとしても利用し得る可能性を有している。
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