研究概要 |
1.合成プロテオグリカンのスフェロイド形成能 肝由来プロテオグリカン中のスフェロイド形成に有効な分子は,biglycan(200KD)とdecorin(108KD)であることが判明した。スフェロイド形成機構はこれらのプロテオグリカンがコア蛋白を介して固相化され,遊離糖側鎖が細胞と相互作用を起すことが重要であることが判明した。スフェロイド形成における糖側鎖特性については天然及び合成プロテオグリカンを用いて検査したところ,コンドロイチン硫酸系糖側鎖にはスフェロイド形成能がみられるものの肝に最も多いとされるヘパラン硫酸系糖側鎖にはその作用が極めて弱いことが判明した。合成プロテオグリカンではコンドロイイン硫酸とフォスファチジールエタノールアミンを共有結合させたCS-PEに最も強力なスフェロイド形成能が認められた。 2.スフェロイドにおけるP450発現 当該年度以前ではスフェロイドの発現は,ミクロドーム蛋白量,酵素活性と共にP450-reduclaseを中心としてcDNAを用いたNorthern blat法により解析を行った。当該年度では抗P450-IIIA2,-IIE1,-IIA1,IIC11,IIB1抗体を用いたWestarn blot法により解析を行った。単層培養肝細胞では培養5日までにすべてのタイプのP450産物は培養開始時の5%以下に減少した。一方,スフェロイドではタイプにより差違が認められ,フェノバルビタールに誘導される-IIIA2が最も良く維持(培養初日の60%)されることが判明した。他のタイプはいずれも培養5日で20%以下に留まった。いずれのタイプも培養開始と共に発現が低下し,スフェロイド形成が完了する培養4日頃から再び発現が回復する傾向が認められた。
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