研究概要 |
FicollーConray比重遠心法にてヒト末梢血中より単核細胞を分離し、その単核細胞のLAK,NK活性はそれぞれDaudi細胞とK562細胞とを標的とした^<51>Cr遊離法にて測定した。また、ヒト単核細胞の培養は酸素濃度制御可能なN_2ーO_2ーCO_2培養器内にて行った。その結果、通常の20%酸素濃度培養条件下でのインタ-ロイキン2(ILー2)によるヒト単核細胞のLAK,NK細胞活性誘導は動脈血酸素分圧に等しい5%酸素濃度と静脈血酸素分圧に等しい2%酸素濃度中では、細胞の生存率には差がなかったが、培養期間が長くなるにつれて共に著しく低下した。しかし、20%酸素濃度中でILー2により刺激した培養単核細胞を20%,5%,2%酸素濃度中でLAK,NK活性を測定すると酸素濃度の低下にともなう活性の低下は認めなかったことより、生体内酸素分圧下では、ILー2によるLAK,NK活性の誘導は低下するが、細胞傷害時は影響を受けなかった。次に、20%酸素濃度中で単核細胞をILー2によりLAK,NK活性を誘導した後、ILー2にて再刺激をして20%酸素濃度下で培養を続行するとLAK,NK活性は持続しえるが、ILー2で再刺激をした時点より5%と2%酸素濃度中で単核細胞を培養するとLAK,NK活性は経日的に著しく低下した。またヒト肝癌細胞株のAlexander cellに対する細胞傷害性はILー2による単核細胞活性誘導時に20%酸素濃度中に比して2%酸素濃度中では著しく低下した。以上の結果は養子免疫療法時に酸素療法を施行し、生体内の酸素濃度を高めることにより、LAK,NK活性を維持させえることを示唆している。
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