1.NDMA(Nーnitrosodimethylamine)の投与方法と時期の検討:血中にアルコ-ル(Al)が存在すると、P450II E1でのNDMAの代謝はA1のそれとの競合のため阻害されるので、A1投与中止後、完全に血中からA1が消失するまでの時間を測定した。すなわち、A1含有液体飼料を午前9時に除去後、1、2、3時間に眼窩静脈叢より採血し、A1濃度を測定したが、A1はいずれの時間にも認められなかった。ついで、NDMAを毎日30ng/Kgあるいは60μg/Kgを蒸留水に溶解して投与するために、1日の平均飲用量をA1およびcontrolラット(n=3)について測定した。午前9時に液体飼料除去後3時間までの飲水量は、A1飼育群では2.7±0.9ml、control群では2±0.4mlであったので、以後、NDMAを15ng/kg/mlあるいは30μg/Kg/mlの濃度で投与することとした。 2.発癌実験:A1含有液体飼料で10日間飼育後、毎日午前9時に液体飼料からNDMA含有蒸留水あるいは蒸留水に交換し、午後0時まで投与した。ついで、午後1時より液体飼料を与えるという方法で40ー80週間飼育を行っている。60匹のラットを、総カロリ-の36%のA1を含む液体飼料で飼育するA1群とA1を炭水化物に換えた飼料で飼育するControl(Cont.)群の2群に大別し、ついで、各群ラットをさらに10匹ずつの3群に分け、30ng/kg B.W.60μg/kg B.W.のNDMA、あるいは蒸留水を投与した。すなわち、A1ーNDMA(30ng)群、A1ーNDMA(60μg)群、A1ー単独群、ContーNDMA(30ng)群、ContーNDMA(60μg)群およびContー単独群の計6群である。なお、平成2年11月より各群ラットの飼育を開始し、現在まで約20週経過しているが、各群における摂取カロリ-、飲水量および体重には差はなく、NDMAもほぼ30μgおよび60ng/kg B.W.を摂取している。
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