研究分担者 |
吉村 一彦 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (70174985)
松沢 幸範 信州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40219423)
小林 俊夫 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80020775)
関口 守衛 信州大学, 医学部, 教授 (70075232)
上田 五雨 信州大学, 医学部・附属心脈管研究施設, 教授 (10020702)
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研究概要 |
本年度は、慢性肺リンパ〓を作製した覚醒時緬羊を用い、TNF(tumor necrosis factor)肺損傷を惹起せしめ,従来より我々がおこなってきたE・coliエンドトキシン肺損傷との比較検討をおこない、エンドトキシン肺損傷におけるTNFの関与について検討した。その結果, 1)TNF肺損傷では、human recobinant TNF 1×10^4u/kgを経静脈的に30分間で投与すると,肺動脈圧は上昇し,投与開始後15分でピ-クに達し,その後低下した。左房圧には変化なかった。肺リンパ流量は、投与開始30分後より増加し、前値の2〜3倍となり、この増加は4時間以上持続した。この肺リンパ流量の増加は、肺リンパ/血漿蛋白濃度比の上昇を伴ない、肺血管透過性の亢進の結果によるものと思われた。血中および肺リンパ液中のトロンボキサンB_2,6ーketoPGF_<1α>の濃度は、肺高血圧の時期に一致して増加した。血中好中球は減少し、P_aO_2はTNF投与30分後に一過性に低下した。 2)選択的トロンボキサン合成酵系阻害剤であるOKYー046 10mg/kgで、前処置をおこなうと、TNF肺損傷における肺高血圧およびトロンボキサンB_2の増加は明らかに抑制されたが、その他の指標は変化なかった。 以上の成績は、TNF肺損傷における諸指標の推移およびOKYー046に対する反応は、エンドトキシン肺損傷と極めて類似している。従って、TNFはエンドトキシン肺損傷におめる重要なchemical mediatorであると考えられる。今後、TNF肺損傷の発生機序をさらに詳細に解明する必要があると思われる。
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