研究概要 |
ヒト皮膚腫瘍における癌遺伝子発現の検討 1.新癬腫瘍組織,正常皮膚組織における癌遺伝子発現 〈方法〉1)1例の有棘細胞癌(SCC),1例の基底細胞癌(BCC),1例の悪性黒色腫(MM),3例の正常皮膚から,摘除後ただちに,mRNAを抽出。 2)抽出したmRNAを用いて,H,K,Nーras,fos,myc,erbB遺伝子の発現をNorthernーblot法を用いて検討した。 〈結果〉1)腫瘍組織,正常組織間で,癌遺伝子mRNA発現に大きな差は認められなかった。 2)正常皮膚組織において,myc,erbB遺伝子は,SCC,BCC,MMよりむしろ,mRNA発現は大きかった。 このことからこれら腫瘍で癌遺伝子の転写活性はないと判断される。 2.ホルマリン固定標本からのDNA抽出,ならびにPCR法 〈方法〉1)当科に保存してあるホルマリン固定標本から,10μm切片10枚を得,脱パラフィン後,フェノ-ル・クロロホルム法にてDNAを抽出。 2)DNAの抽出が充分に行われているかどうか,今年度は皮膚リンパ腫組織における,HTLVー1ゲノムの存在について,PC法にて,HTLVー1pol,gag領域の増幅をおこなった。 3)増幅したDNAはエチジウム染色,Southernーblot法で観察した。 〈結果〉1)HTLVー1ゲノムは,この抽出法,PCR法で確実に増幅されることが確認され,皮膚リンパ腫組織におけるHTLVー1の関与の深さが示された。
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