研究概要 |
日本人尋常性乾癬患者でその頻度が増加しているHLAーCw6,Cw7,Cw11と他のClocusの塩基配列を比較検討したところ,Cw6とCw7のみに特徴的な9番目と90番目のアスパラギン酸(Asp)と73番目のアラニン( ^<73>Ala)を見い出した。特に73番目のアミノ酸配列(exon2)領域はHLAーC分子のαーヘリックス上に位置し,抗原結合部位にあたることから,本年度はこの部位に焦点を絞り,解析を行った。即ち,75名の尋常性乾癬患者および50名の正常人の末梢血リンパ球より全DNAを抽出し,2種のHLAーC特徴的プライマ-を用い,polymerase chain reaction法により,73番目のアミノ酸部分を規定する部位の塩基配列を増幅後,73番目がAlaのオリゴヌクレチドプロ-ベと73番目がスレオニン(Thr)のプロ-ベ2種を用いてハイブリダイゼ-ションを行い,その結果を比較した。検索の結果,当然のことながら,HLAーCw6,Cw7を有する患者および正常人では ^<73>Alaが陽性であったが,Cw6,Cw7を有しない場合でも ^<73>Ala陽性が多数認められた。Cw6,Cw7(ー)& ^<73>Ala(+)の症例のHLAを検討するとその大多数がHLAーBw52を有していた。日本人集団ではBw52はDR2とCx52(これは現在血清学的同定ができない)と連鎖不平衡を示すことが多く,血清学的にはCーブランクでもCx52を有している可能性が示された。その他,Cw4や現在Cーブランクのものでも ^<73>Ala陽性を示すことが判明した。 ^<73>Ala陽性度を患者群と正常人コントロ-ル群で比較すると81%対48%,階2乗値15.3,相対危険率4.72,P<0、0001で患者群で有意に ^<73>Alaの存在が上昇していた。以上のことより, ^<73>Alaは乾癬の発症に重要な役割を果たしていると考えられるが,9番目のAspもβシ-ト上に位置し,抗原結合に関与している可能性があることから,この部位の検索も現在,行っているところである。
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