研究概要 |
従来より当教室にて継代培養してきた、ヒトPTH産生DNAをtransferしたマウス線維芽細胞株を用いて実験を継続した。前年度に行なったCa濃度変下、P濃度変下でのPTH産生能の検討に加えて、本年度はVitamin D 投与下、ステロイドホルモン投与下での培養液中のPTHを、CーPTH、NーPTH、MーPTH、intactーPTHに分けて検討したが、いずれもPTHの産生を認めなかった。DNA transferに際り繰り込んだZnの濃度負荷には反応してホルモンを産生することより、本細胞株にはCa,P,VitaminーD,ステロイドに対するreceptorが無いものと考えられる。臨床応用により近ずけるために、現在DNA読取りの発現をCaにかえる系を実験中である。PTH産生細胞の抗原性を調べるために同細胞をMMC処理し、stimulatorとして用いるMLC assayをおこなった結果、本細胞株には抗原性が少ないことが判明した。CTL assayについても検討中である。ILー2 dependent 細胞株や胎児肝細胞株へのDNAの移入も実験中である。 in vivoの実験として上皮小体切除マウスへの移入を行なったが、マウス血清よりのヒトPTHの検出は認められなかった。しかしながら、マウスの腎皮膜下に移植した細胞の存在は、組織免疫化学反応から確認されており、又その細胞は再度培養系に戻した場合、Znの刺激によりホルモンを産生する。以上より本細胞は十分に生体内に生着し、条件さえ整えばホルモンを産生しうるとの結果を得た。今後はalloの移植系への応用を試みる予定である。
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