研究概要 |
癌患者リンパ球を13日間T細胞増殖因子・recombinant ILー2・可溶性自己腫瘍抗原を含む培養液にて増殖されたキラ-T細胞(cultured lymphocytes;CL)の自己腫瘍に対するキラ-活性測定系( ^<51>Cr放出試験)に患者新鮮リンパ球(fresh lymphocytes;FL)を添加すると、FL自体にキラ-活性は無いものの免疫化学療法(OKー432,化学療法剤,CL移入の連続治療)を受けた患者のFLは高頻度でCLのキラ-活性を増強し、一方乳癌術後無治療例のFLは逆にCLの活性を抑制した。なお、非特異的標的細胞K562に対しては両群のFLの作用に差が無かった。以上の予備実験結果から補助金により諸実験を行ない、CLとFLの抗腫瘍協調作用の発現条件を解析し、次の結果をえた。1.CLの自己腫瘍に対するキラ-活性を増強または抑制するFLはいずれもプラスチック非付着分画にその活性を認めた。2.更に抗体+補体処理によるnegative selection にてFLの subpopulationを求めたところ、FLを抗CD8 + Cにて処理するとCLのキラ-活性を増強し、抗CD4+Cの処理にてCLのキラ-活性を抑制した。すなわちFL中のCD8^+細胞がCLのキラ-活性を抑制し、CD4^+細胞がキラ-活性を増強することが示唆された。3.これらのFLのキラ-活性増強または抑制作用は患者自身のFLによってのみ発現する傾向が示され、また K562腫瘍に対しては異なった作用を示し、これらの現象の腫瘍特異性が示唆された。以上1ー3の結果をふまえた今後の検討課題として、特に乳癌術後症例を対象に、免疫化学療法(OKー432,化学療法の連続治療)がCLと抗腫瘍協調作用を示すFLを誘導することを実証し、FLとCLの協調作用を利用したプロトコ-ル;immunoーchemoーlymphocytoth erapy(OKー432,化学療法剤,CL移入,の連続治療)の合理性を証明したい。
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