研究課題
鼻咽腔閉鎖不全の患者に対する治療法として咽頭後壁の上咽頭収縮筋内に脂肪注入する方法について検討した。今回、臨床使用に先だって注入された脂肪組織でどれだけ自然吸収されるのかを調べるために基礎的実験を行った。実験には、ウサギ20羽を使用した。ウサギの鼠径部の脂肪組織を(株)高研製の脂肪吸引器により採取、採取した脂肪組織をウサギ耳介および腹直筋内に注入した。経時的に脂肪注入部の生検を行いその組織学的変化を検討した。その結果、耳介入部の脂肪組織はほとんど吸収されたのが腹直筋部に注入した脂肪組織は、6ケ月目でも吸収されずに残っていた。臨床的には顔面半萎縮症の患者の萎縮した頬部及び限局性強皮症の患者の前額部に腹部および上腕内側部より同様な器具にて脂脂組織を採取し注入した。現在3ケ月経過しているが経過は良好である。今後、経過観察が容易である疾患に対して脂肪注入しその安全性を検討した後、鼻咽腔閉鎖不全に対する治療を開始する予定である。