本年度は前年度に引き続き臨床手術材料の検討と、基礎的研究を行なった。また、平成2年度より補助を受けた一般研究(C)の3年目の最終年にあたるので過去3年間の研究成果の整理、分析、関連文献の収集と検討、以上をまとめての論文作成を行なった。 I)臨床手術材料によるN-myc増幅の検討 本年度中に入手しえた手術材料は4例であった。そのうち、マススクリーニング症例が2例含まれていた。N-myc遺伝子増幅例は1例で約35コピーであった。DNA再編成は認められなかった。 II)基礎的研究 A)パルスフィールドゲル電気泳動法による研究 前年より引き続き酵母のベクターpYACそのものの改良をおこなっている。具体的には1)pYAC内において挿入する巨大DNA断片の結合(Ligation)効率の改良、2)pYACに結合した後それを酵母に導入し特殊培地にて発芽させるが、その発生効率の改善、3)前述の酵母を培養維持していると巨大DNA断片の一部の脱落や、self ligation homologous recombinationなどを約20%の確率で起こすがそれの防止対策の確立の検討をおこなった。しかしながら、これらの検討項目は技術的に多くの解決すべき問題があり引き続き検討を必要としている。 III)まとめ 過去3年間の基礎的、臨床的研究について研究成果の整理分析および関連文献の収集を行い、その結果「神経芽腫におけるN-myc遺伝子増幅の検討」ー培養細胞株8株と手術切除材料86例の検討ーとして論文を作成し投稿中である。
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