研究概要 |
1)マウス腹水肝癌MH134の細胞浮遊液(5×10^5cells/mouse)を、C3H/He/SIC系5週齢雄性マウスの後肢足背に注入したところ、移植9日目に同側膝窩リンパ節および腰部リンパ節に転移が形成され、リンパ節転移の実験モデルが確立された。 2)転移が成立したマウスを全身麻酔下に転移の形成された後肢膝窩リンパ節に (1)CHエタノ-ル(微粒子活性炭CH40と純エタノ-ルを1:4の割合で混ぜたもの) (2)純エタノ-ル (3)生食をそれぞれ0.05ml注入し、4日後に屠殺して膝窩リンパ節および腰部リンパ節の重量を測定した。各群10匹の平均重量は膝窩リンパ節ではCHエタノ-ル群12.3±6.5mg,純エタノ-ル群16.8±1.9mg,生食群22.0±6.5mgとなり、前二者の治療効果が認められた。腰部リンパ節ではCHエタノ-ル群5.1±2.2mg,純エタノ-ル群13.0±6.7mg,生食群15.5±6.4mgとなり、CHエタノ-ル群は他の2群と比べて有意に軽く、遠隔リンパ節での治療効果が認められた。 3)つぎに各リンパ節を摘出して、10%ホルマリンで24時間固定後、ヘマトキシリンエオジン染色を行って組織学的な変化を比較した。その結果、CHエタノ-ル群では注入部位である膝窩リンパ節全体に微粒子活性炭CH40の滞留と凝固壊死を認め、脈管内に血栓の形成を認めた。遠隔リンパ節である腰部リンパ節においても辺縁洞を中心としたCH40の滞留と凝固壊死を認めた。しかし、純エタノ-ル群では膝窩リンパ節に限局した凝固壊死を認めたが、腰部リンパ節には変化を認めなかった。 4)以上の結果から、リンパ指向性が極めて高い微粒子活性炭(H40に吸着された純エタノ-ルは吸着されたまま遠隔のリンパ節に到達して、遠隔の転移リンパ節を凝固壊死させたことから、本療法は遠隔の転移リンパ節に対するタ-ゲッティング療法として有望であると考えられた。
|