1)、悪性脳腫瘍の腫瘍関連抗原(TA226)を認識するヒトモノクローナル抗体(CLN-IgG)を用いて作製された抗イディオタイプモノクローナル抗体(Idio-33)は、特異的にCLN-IgGと結合し、かつTA226に対するCLN-IgGの結合を阻害した。またIdio-33の免疫によって、抗抗イディオタイプ抗体の誘導が可能であった点よりIdio-33はB型の抗イディオタイプ抗体と考えられた。 2)、重症複合免疫不全マウス(Scidマウス)に対して、ヒト末梢リンパ球を移入しヒト免疫系再構築モデルを作製した。このモデルに対してヒトglioma細胞(U-251MG)を移植すると、移植40日後より腫瘍形成が認められた。一方、Idio-33によって免疫したマウスでは、腫瘍増殖の抑制効果を認めるとともに、マウス血清中に抗抗イディオタイプ抗体の形成が確認され、抗イディオタイプ抗体によるワクチン療法の可能性が示された。 3)、ヒトモノクローナル抗体(CLN-IgG)投与脳腫瘍患者において、末梢リンパ球を培養系に移し、抗イディオタイプ抗体(Idio-33)によって刺激すると、抗抗イディオタイプ抗体を産生するとともに、標的細胞であるU-251MG細胞に対して殺細胞効果を示した。さらに末梢リンパ球のサブセットを解析すると、B細胞膜表面上のみでなく、ヘルパーT細胞膜上にもCLN-IgGに結合しうる抗イディオトープが発現しており、イディオタイプネットワークにおけるT細胞の関与が示された。
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