研究概要 |
(研究計画及び方法)治療終了後経過観察中の松果体部腫瘍患者(PT)でMLT測定(RIA)にて松果体の機能的摘出状態にあるものをモデルとしてMLTと同時に下垂体前葉系ホルモンを測定し、MLTと視床下部下垂体系との相互作用について検討した。尚、対照実験として同様の治療終了後で経過観察中の松果体部以外の胚細胞腫瘍患者(germ cell tumor,GCT)と比較検討した。(研究結果)MLT測定値のassay内変異係数(9.8%),assay間変異係数(14.3%)であった。正常対照群(NP)およびGCT群の血類MLT濃度は日周期リズムが確認され、しかもNP群GCT群間に有意差を認めず、PT群は有意に低値をを示し、しかも日周期リズムの消失が認められた。この結果を基にPT群とGCT群間の下垂体前葉系ホルモンの相互比較検討した。PT群の血清LHレベルは、GCT群と比較し、分散分析にて有意に高値を示し、MLTの性腺抑制作用を示唆する結果が得られた。ACTHーcortizo1系に関しては、ACTHに関して有意な変化は認めなかったが、血清cortizolは、PT群に比し、GCT群に有意に高値を示し、MLTが、MLTがcortizol分泌への賦活作用を示唆する結果が得られた。血清TSHレベルでは、PT群がGCT群に比し、有意に高値を示し、血漿MLTレベルと血清TSHレベルとの間に逆相関を示唆する結果が得られた。 血清GH,PRL,FSHレベルはPT群 GCT群間に有意差は認められなかった。以上より従来の動物実験の結果を支持するものとして今回の我々の実験結果からMLTとLH,TSHの逆相関が示唆され、今後症例を重ねると共に今回の実験モデルと逆の観点から下垂体部腫瘍患者において検討し、より明確にしたいと考えている。
|