1.ポリエチレン製の経皮端子の平滑な表面にコラーゲンを固定化し、端子と真皮部分とを選択的に縫合した。この方法は初期の固定力が優れており、表皮細胞の外方への移動にも影響されないため端子と皮膚との比較的良好な接着が得られたが、24週以上の長期の観察では界面の剥離が観察された。 2.より強固な結合を得るために多孔質材中への真皮細胞の浸潤を期待し、真皮の厚さと空孔率との関系を調ベたが、長期の観察では材料は皮下または外方へ排出された。 3.さらに、周囲の皮膚をロッド状に形成し、その内側に超微細繊維にて編んだ円筒に外方よりコラーゲンを固定化した試料を縫合する方法を検討した。この方法は表皮細胞が多孔質材に浸潤することによる表皮のdowngrowthを容認し界面の動的安定を期待するものであったが、術後1週目から皮膚形成の崩れがみられ出した。 4.以上のように過去行ってきた経皮端子の実験が少しずつ良好な成績を示しだしたとはいえ、皮膚と経皮端子との界面に加わる大きな応力に耐えて、長期の安定が得るためにはまったく異なった方法による解決を要した。現在は界面となる皮膚にin-situ処理を加えて皮膚自体の動的活性を下げることにより、直接経皮端子と皮膚とを機械的に結合させる方法を試みている。この方法で術後30週間の安定した界面を得る事に成功している。また、創外固定器の経皮ピン等のように比較的短期間使用され、感染の防止等を目的とした経皮端子の開発を加えた。これは、コラーゲンを固定化した表面は短期に良好な安定性を示すため、短期の使用に於て感染の予防等に効果があると判断したためである。
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