1.先天奇形におけるDNA複製遺伝子の異常に関する研究 重症先天奇形15例のDNAを10種類以上の制限酵素で消化してDNAポリメラ-ゼδ補助蛋白(PCNA)、DNAポリメラ-ゼα、DNAポリメラ-ゼβのcDNAをプロ-ブにしてサザンブロット解析を行なった。その結果、PCNA、DNAポリメラ-ゼαおよびDNAポリメラ-ゼβ遺伝子の対立遺伝子の一方に異常のある先天奇形の1症例を見出し、その変異遺伝子を単離するためにコスミドライブリラ-を作成し、現在一次スクリ-ニングを行っている。 2.先天奇形における形態形成調節遺伝子遺伝子の異常に関する研究 DNAを10種類の制限酵素で消化して、それぞれをHox4遺伝子クラスタ-に属するHox4B遺伝子のcDNAプロ-ブと我々がクロ-ニングしたHox4A遺伝子のDNAプロ-ブを用いてサザンブロット解析を行なった。しかし異常なバンドは全く検出されなかった。PCRーSSCP法でHox4A遺伝子の変異を検出することを試みたが、28例の先天奇形DNAで1例も変異が見い出されなかった。 3.先天奇形における複数の遺伝子異常に関する研究 1においてPCNA(第2染色体)、DNAポリメラ-ゼβ(第8染色体)およびDNAポリメラ-ゼα(X染色体)の3つの遺伝子異常を伴う先天奇形症例(MY)を報告した。この症例は、異なる染色体上にある独立した遺伝子に異常が多発した症例とも言える。 4.先天奇形における微小DNA領域の欠失および重複に関する研究 第2染色体長腕にマップされるVNTRマ-カ-(pYNH24)をプロ-ブとして先天奇形30症例のサザンブロット解析を行なった。その結果1例において正常なバンドの下に第2染色体の増幅したミニサテライトDNAのバンドが検出された。
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