立位の種々の姿勢と運動を重心動揺計で計測する方法の確立と、それによる直立、運動姿勢の解析を目的として3年間の研究を実施した。 1、重心動揺計1G06のoutputを直接AD変換し、またSignal Processor7T08の解析記録をそれぞれPC-9801へ転送し、sampling timeを10-50mseoに変えて解析する方法を検討した。重心動揺計は、床面に投影される重心の位置を検出するもので、moment(torque)を体重で除し、XYの位置の経過をanalog deta recorderで記録し、sampling timeを設定し、そのdigital dataをPC-9801へ転送し、軌跡長、速度、確立密度分布、周期波形の各部分要素の平均値、標準偏差を目的に従って求めることが出来た。また、重心動揺計の較正を検討した。 2、重心動揺計にて、健康診断受診者285名(男198名、女87名)のロンベルグ姿勢で開閉眼60秒間直立時の重心動揺軌跡長、面積を求めた。10歳代ごとに検討し、閉眼は、開眼より有意に増加した。20歳代に比べ、軌跡長の有意な増加は閉眼ではみられず、開眼では、男性で60、70歳代で、女性では70歳代で有意に増加した。面積では、開閉眼、男女とも70歳代で有意に増加した。 3、直立時の各種運動動作の解析を実施した。足踏みでは遊脚相の足挙上時には足圧中心(center of foot pressure CFP)は対側とやや前方へ急速な移動が、足降下時には対側後方への急速な移動が出現した。立脚相ではCFPは最外側に位置しその後やや内側前方に移動した後再び外側後方へ戻り遊脚相へ移行した。足踏み反復では前方凸の円弧を示す。直立で体幹の左右傾、前後傾では、それぞれ左右、前後方向に大きく、左右捻転では左右前後への大きい動きがみられた。閉眼直立での動揺は上記一連の運動後増加したが10分で運動前に復した。直立運動姿勢のEFPの解析は運動リハビリテーションの評価に利用出来ると結論した。
|