研究概要 |
組織培養や眼内潅流の実験によって眼圧調整機構を調べ、房水流出率を賦活することによって、眼圧を下降させる方法を研究した。 1そのために実験動物(ウシ)で房水流出抵抗を下げる薬物の投与がin vivoでも可能か検討した。摘出ウシ眼で、epinephrineやisoproterenolは房水流出率を上昇させなかった。しかしphosphodiesterase抑制剤は流出率を上げたので、今後検討したい。 2NaFは8ー10mMで、55.2I80%の房水流出率低下を示した。これは低温で生じず、体温に近づくにつれ効果が認められた。KCNや2,4,Dinitrophenolは房水流出抵抗を変えなかった。このことから、房水流出率が必ずしも組織の代謝の活性によって生じるものでないことをも念頭におかねばならない。 3線維柱帯内皮細胞をCreanの方法によって組織培養することが出来た。培養細胞は交感神経作動薬(例えば10^<ー3>M epinephrineで3時間培養)に反応したが、その反応は活性酸素(例えば10mM H_2O_2で同時間培養)に対する反応とはまるで異なっていた。 4アクチン等の細胞骨格蛋白を染色し、かつ2次元電気泳動法でS=S結合を調べることに成功した。ただし生理的環境下では10^<ー3>M epinephrineや10mM H_2O_2でも変化が少なく種々のinsultsに対して充分な抵抗作用を有することが明らかにされた。 5次の点は努力をしたが充二分に明らかにできなかった。すなわち、房水流出率は毛様体の影響をうけるはずであるが、流出率を変化させるはずのprostaglandinsやα拮抗薬等の効果は不明であった。また慢性効果を調べるべきであるが,器官眼培養は技術的に困難であった。これは器官眼からの流出量に比べ,技術上の液の漏れが無視できなかったからである。この(5)以外のことは,一応終了することができた。
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